ちまたで話題に上がっていた「世界を変えるデザイン展」に行ってきました。最終日の前日に滑り込みセーフな感じです。こういう展示は行きたいと思っても、 出不精なのでついついスルーしてしまうんだけど、運良くお友達が誘ってくれたのでラッキーでした。ツイッターでお知り合いになった人とも出会えてとても楽しかったです。ミッドタウンとAXISで同時開催していて、僕たちはAXISの方に行きました。
発展途上国が抱えるさまざまな問題に対して、すぐれたプロダクトデザインで解決している事例がたくさん展示してありました。ローラー型にして一度にたくさん水を運べるポリタンク、空き缶に装着するだけで、使用済み注射針を安全に処理できるフタ。どれもこれも非常にコンセプチュアルというか、目的がはっきりしているだけに洗練された機能美を持つデザインばかりでした。デザインが美術的にどうこう、というよりも、課題に対してそれを解決していく方策やプロセスを含めた解決手法を見るべきなのだなと思いました。(そのプロセスも詳しくパネルで展示されていました)
課題そのものはシンプルだったりします。例えば、「水をたくさん運びたい」とか、「毎日の薪拾いに時間がかかってしょうがない」とか。それに対する答えとなるデザインもシンプルで、最初と最後だけを見ると単純な仕事に見えるんだけど、実現するまでのプロセスが非常に複雑で困難なハードルを抱えていたりするので、プロセスの理解なしではこのデザインのすごさを語れないというか、なんというか。発展途上国とデザイナーが単純な1本の糸で結ばれているわけではないんですよね。経済的なことや、現地での雇用問題など、いろいろな事、人を巻き込んでクリアしつつの実現なので、空き缶キャップひとつにしてもそれなりのスケールのプロジェクトになるようです。
普段、広告を作る現場にいると、クライアントの潜在的な課題を探したり、より高価格で売るためにいろんな付加価値を付けようとしたり、いろいろとお金を稼ぐために頭をひねる(僕はあまりひねってないけど)わけだけど、なんかそういうのとは次元の異なるデザインへの取り組みを見て、なんか少しショックを受けました。あと単純に勉強不足なので、発展途上国の現状を数字のデータなどで見せられて、それもガーンとなりました。僕がiPad欲しいとか、今夜はエビスビール飲んじゃおうかな〜なんてボケーと暮らしている時に、ある国では暴行される危険を知りながら、夕飯を作るための薪を拾いに女性が暗い森を延々彷徨っていたりするわけです。映画「ホテルルワンダ」を見た時もガーンとなりましたが、いろいろ考えさせられました。
僕のような人間も、デザインという特技を活かして社会貢献ができるといいなと思う。そのためにWEBなり何なりを利用して、気軽に参加できる仕組みがあればもっといいなと思う(もうあるのかもしれない)。正直に言うと、食べていくための仕事と子育てを合わせると、1日がほぼ終わってしまうのが我が家の現状です。だからNPO団体に所属して積極的に活動する余裕はないんだけど。。僕は自分自身や家族を幸せにしたい。その上で、余力があれば社会貢献したい。そういうスタンスって叱られちゃうんでしょうか。結局みんな余力がないんだもんね、現状。うーん。。そうそう、例えば話題のクラウドソーシングみたいな仕組みとか、使えるんじゃないかなと思ったりもしました。広告デザインやイラストの制作コストを抑える目的でクラウドソーシングを実験的に活用している企業もあるけど、社会貢献の分野でも活用できるんじゃないかと。ネットの世界ではオープンソースが一般的で、ひとつのアプリケーションを不特定多数の人が自由に改良していけたり、Wikipediaのようなサービスもありますよね。今回知った発展途上国のさまざまな問題も、もっとオープンにしていければ、もっとたくさんの人が関われるんじゃないかな。…ていうかおいら、当たり前のことばっかり言ってるなあ。。